覚え書き。

日常考えたことのメモ。

すべての人生はイチからの学び直し~アサシンクリード4より~

アサシンクリード4の最新作「ブラック フラッグ」をクリアした。以下、断片的な考察のようなものです。

アサシンクリードシリーズは「先祖の記憶を読み取る」機械であるアニムスを用いて、<秘宝>と呼ばれる先人類のテクノロジーを探すために現代⇔先祖の世代を行き来するというゲームです。シリーズを通して、テンプル騎士団が掲げる「支配」と、アサシン教団が掲げる「自由」の戦いが描かれています。ゲーム自体はアクションですが、その背景には手紙、美術品、建築物を通して当時の歴史をかなり細かく描いているのが特長です。一見すると本編とは関係ありませんが、ゲームを「単なる殺人ゲーム」に留めない魅力的なものにしている需要な要素です。

「ブラック フラッグ」では、シリーズのⅠ~Ⅲで主人公であったデズモンドが亡くなった後の世界。デズモンドが生前に残していた携帯電話の記録を通して彼のメッセージが伝えられます。先祖であるアルタイル、エッツィオ、コナーとその父であるへイザムの人生を追体験している彼はこんな風に語ります。

偉人や優れた知性を持った人たちも、同じような戦い、同じような過ちを繰り返している。文化、知識、歴史は遺伝子を通して受け継がれるわけじゃない。すべての子どもたちは、生まれてから学び直さなければいけない。どうやって生きて、生き延びて、正義をなすのか。そのたびに、世代ごとに多くのことが失われ、多くのことが加えられる。

この話を読んで面白いなと思ったのは、人生の一回性を言い当てつつも、「それでぼくらは昔の人より賢くなっているのか?」ということを端的に言い当てている部分があるからです。現代は明らかに「昔より便利」なことはたくさんあります。一方、ぼくらは自分の人生しか見つめていないですから「先祖と比べてどうか」なんてことは考えもしません。でも、すごい引いた目線で、人類の歴史レベルで考えてみれば賢くなくなっている、可能性だってあるわけです。

で、冒頭に戻りますがアサシンクリードは、言ってしまえばアクションで、隠れて人を殺すアクションゲームに過ぎません。アクション部分は開発元のUbisoftプリンスオブペルシャの時代から築いた資産ですし、ステルス・アクションな部分はメタルギアソリッドシリーズの方が歴史も深く、洗練されています。アサシンクリードシリーズは膨大な情報に裏打ちされた「歴史」と「サスペンス」と「ちょっとのSF」を盛り込むことで、プレイヤーを魅了してきているゲームです。

今作では海洋でのアクションが増えて、実に大ボリュームになりました。プレイに時間がかかります。一方で、本編であるストーリーはあまり進んでいないようにも思います。メインとなるストーリーに厚みがない作品にとってのアクションは「時間稼ぎ」や「暇つぶし」の要素にも見えかねないです。

…なので、自作は大作でなくてよいので、ストーリーに厚みを増やしたり、ひとりひとりの登場人物を描くなどがいいなー、と思います。